炭酸ガスレーザーメスとは? 令和 2 年、最新型の機器を導入しました。 |
当院では前院長・古郡嶽雄がその昔、レーザーメスを用いた肛門病の治療を目の当たりにし、「こんなに有用な物は他になく、すぐに当院でも治療に取り入れよう」と即決した結果、昭和57年より機器を導入し現在も治療を行っております。
その後新調を繰り返し、現在使用しているのは、令和 2 年 6 月に導入した日本ルミナス社製の最新式炭酸ガスレーザーメスを使用しています。
レーザーメスによる治療は、出血を最低限に抑えた切開が可能で、現在、当院の手術では殆どの症例に使用しております。これにより、手術時間の短縮や、術後のむくみ、痛みなどを最低限に抑える事が可能です。
また、非常に小さな「点」で組織を「ミリ単位」で焼灼する事が可能で、電気メスではできなかった精密な操作が可能で、熱による組織の副作用を最低限にする事ができると同時に、術後の痛みも最低限に抑える事ができます。
また、細かい場所を選択的に焼灼できる事により、狭い部位だけに強力な熱を与えることによって、きめ細かい凹凸や皮膚の隆起(皮垂; skin tag)などを、ピンポイントに焼灼できるので、形成外科的な細かい操作も容易に可能で、より違和感の少ない肛門に仕上げる事が可能となりました。
しかし、こんなに利点の多いレーザーメスを用いた治療を行ってるという肛門科の宣伝をあちこちのホームページで見た!という方は非常に少ないと思います。なぜでしょうか?
実は、専門としている学会においても、肛門病に炭酸ガスレーザーメスを用いるというのは、多くを語られる事はありません。つまり、治療器具としては非常に「マイナー」な存在なのです。
広まらない大きな要因は、「こまで費用を出してレーザーメス購入しなくても、電気メスで十分に対応が可能」と思っている肛門病を専門としている医師が多いのが現状だと思います。つまり、電気メスには無い、レーザーメスの長所を知るチャンスが無いのです。
私自身は、「この機械はいいですよ、是非買ってください」というような、肛門科医にセールスをするようなつもりは全くありません。ですが、こんな便利な道具を使用する体験に遭遇できない肛門科医が沢山いる事が非常に残念です。
昨今、コロナの影響もあり、医療業界はますます厳しい状況での診療を強いられています。このような状況下において、新たな機材の購入意欲は薄れる一方ですが、少なくとも、患者様にとってはメリットが多い機材であることは間違いないのですが、なかなか広がりにくい結果となっています。
当院では、このような機材を積極的に利用しています。