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大腸内視鏡検査の前に飲む「大量の下剤」。医療機関によって「味が違う」のをご存知でしたか??
多くの人が「まずい」と思う下剤もあれば、「美味しかった」という感想が持てる下剤もあるのです。
当院では2016年、「ピコプレップ」を採用し、更に令和4年、「サルプレップ」を採用しました。やや濃いレモン味で、いままでの下剤には無かった味です。

 1リットル以上飲まないといけない「あの大量の下剤」のお話です。

 残念ながら、どこの医療機関でも、1,5~2リットルの量を飲まないといけないのは変わりません。ですが、実は個々の医療機関で採用している下剤の種類が異なります。その中で、「前の病院で飲んだ下剤が非常にまずかった」という経験をお持ちの方は沢山いるのですが、なかなかこれを教えてくれる患者様は多くありません。

 検査中に医師に、「今回飲んだ下剤、不味かったよ!」と言えるかどうか、もちろん言える方もいますが、どちらかと言うと少数かもしれません。でも私は個人的に言って欲しいと思っています。きっと患者様本人は、「医者に言っても仕方ない」と思う方が多いのかと思います。もし、まずい下剤に出会ってしまったら、ネットで検索して、下剤の種類を調べる事が大切です。

 そこで最も問題なのは、その医療機関が「どの下剤を採用しているか」です。もし、一種類しか採用していなければ、一方的に「これを飲んでください」と、従う以外ありません。その医療機関では、選択の余地がないのですから、当然そうなります。

 「選択って言ったって、何種類あって、どんな特徴のある下剤なのか、何も分かりません!」。確かにその通りです。それは、各医療機関が下剤の「メニュー」を準備していないから、または複数の下剤を持ち合わせていないからです。

 想像してみて下さい。ラーメン屋に行ってメニューも見せられずに、「これを食べて下さい」といった具合です。ありえませんよね?

 「検査なら仕方ないです」と、大病院であれば、そう解釈して「あきらめる」方もいるでしょう。しかし、小さな医療機関では、「あそこの下剤は不味かった!」「前の病院よりも飲みにくかった!」となり、話は変わります。

 ネット社会、検索能力に卓越した人ならば、「もっと美味しいものはないのか? もっと飲みやすい下剤はないのか?」 いくらでも、調べられるでしょう。「前の病院よりも美味しかった」、「あの味ならもっと飲めた」という口コミ、つぶやき、噂、評判があれば、そちらに流れていくものです。

 ここでまた問題になるのは、「美味しかった」と言っても、万人に受け入れられるものではないという事です。「あそこのラーメン屋うかったよ!」と言って、10人が10人全員美味しいと答えるか、という問題です。味噌、醤油、塩、とんこつ、つけ麺…「好み」の問題なので、全ての人が心底から「美味しい」と答えるかは微妙です。

 下剤の種類はラーメンほどありませんが、個人には味の好みというものがあります。個人になるべく受け入れられやすいものを提供するのが、こちらの役割です。当院では、検査を予約する際、味の好みを聞いて、なるべく受け入れられやすい下剤を提供するよう心掛けております。

 さてここで、これまであまり語られていなかった下剤の種類について解説したいと思います。

 もともと、内視鏡前処置用の下剤には数種類あるのですが、その中で秀でる魅力の感じた3剤を当初採用してきましたが、2016年より、これまでにはない特徴を備えた「ピコプレップ」を採用し、さらに2022年(令和4年)、さらに今までの味とは違う「サルプレップ」を採用して5剤になりました。なかなかこれだけの種類を提供している医療機関は多くありません。

 それができる大きな理由は、これらの飲み方を説明できる知識をもっている看護師が備わってるからです。当院のナースは、全員が飲んだ患者様の感想を聞いており、飲み方の説明も十分に出来るように知識を得ていますので、これらの数の下剤を提供できる状態になっています。

 「この味なら飲める」という下剤を是非探しあて、楽な大腸内視鏡検査を受けられる環境と整えて下さい。各下剤の特徴を解説します。また、値段については3割負担の料金となっております。

マグコロール散

230円  1.8リットル

 スポーツドリンク(ポカリスエット)のような味で、最も飲みやすく、受け入れやすい味で、「美味しかった」、「苦痛なく、違和感なく飲めた」、「この味なら、まだ飲めた」という感想が多い下剤です。洗浄効果も、おおむね問題のない効果を得ることができます。
 他の下剤よりも個人負担金が最も安いのも特徴です。

 モビプレップと比較すると、洗浄が完了するまでの時間が(数十分程度多く)かかります。
 少数派ではありますが、「甘いのが苦手」、「スポーツドリンクが苦手」という方は勧めにくい下剤です。

モビプレップ

590円 1.5~2リットル

 統計的に、薬液を2杯飲んでから好きな液体を1杯飲むという下剤で、洗浄力も高めで、よりキレイに洗浄が完了できます。
 味は、飴の「小梅ちゃん」のような、すっぱい、濃い味がします。スポーツドリンクのような、「甘いのは苦手」という方には向いています。

 濃い液体なので、体は脱水傾向になり、薬液と他の水分を交互に摂取してもらう、という飲み方を十分に理解しておく必要があります。
 一人暮らしの方や、すっぱい味が苦手な方には勧めにくい下剤です。

ビジクリア

650円 1.6リットル

 同じ味の液体を飲み続ける必要がありません。自由な味の液体(水、お茶、麦茶、ホットでも)で飲む事が可能です。洗浄能力も十分にあります。
 「甘いのも、すっぱいの、人工的に味付けされたようなものは苦手」という方にはお勧めです。

 小指の頭くらいのやや大きな錠剤を40錠(15分毎に5錠を2時間かけて)内服しないといけません。
 約16x8x6.5mmの大きさです。

ピコプレップ

600円 2.3リットル(2回分け)

 唯一、睡眠前と起床後に2回に分けて飲む下剤。検査当日2時間で1.5リットル前後の下剤を飲むのは大変だった、という方に向いています。
 睡眠前後に150mlの溶かした溶液(オレンジ味)の後に、自由な味の液体(透明な液体)が飲めます(前日1250ml、当日750ml)。
 ※総飲量は最も多いのですが、2回に分けて飲むので、印象としては決して多くはなく、薬液量も多くないので、味はあまり気になりません。

 睡眠中に便意がおこり、睡眠の妨げになる可能性があります。
 前日の夕食の食べ終わりが午後6時前後と、やや早めなので、前日仕事などで帰宅が遅い方には向きません。

サルプレップ

610円  1.5リットル

 濃いレモン味で、最も新しい下剤です。薬液をコップ1杯飲んでから、好きな液体を2杯飲む、という下剤で、薬液比は飲水量の1/3で済みます。洗浄力も高く、今後希望者が増えることが期待される下剤です。

 今まで飲んだ下剤の味が苦手だったという経験をもっている方には、これで一度試してみるというのもアリだと思います。

 文章だけでは分かりにくいと思いますので、各々の特徴を表で解説します。

 飲まなければならない量全体を100%とすると、その液体のうち何%が人工的に作られた味の「薬液」なのか、あるいは、何%が水やお茶などの抵抗の無い「好きな液体」なのかを表にしてみました。

 薬液量が0%、つまり好きな液体100%で飲める下剤が「ビジクリア」(錠剤タイプ)で、反対に薬液量が100%を占めるのが「マグコロール散」です。

 「ビジクリア」は、人工的な味付けが苦手な方に推奨できる下剤ですが、やや大きめな錠剤を合計40錠ほど飲まないといけない欠点もあります。どちらを優先して選ぶかは個人の好みによります。採用している医療機関が少なめの下剤なので、わざわざ県外からこの下剤を求めて当院を受診する方もいらっしゃいます。
 「マグコロール散」は、全量が薬液ですが、スポーツドリンク(ポカリスエット)に似ており、割と多くの方が経験したことのある味で、比較的受け入れやすい味に仕上がっています。

 そして、薬液量が徐々に増えてくる順に、「ピコプレップ」、「サルプレップ」、「モビプレップ」があります。各々飲み方、味に特徴があります。どれが飲みやすいのかは、ラーメンの話と同じで、個人の好みによります。
 万人に受け入れられる下剤があれば、日本全国、内視鏡用の下剤など、複数も必要ありません。そのような下剤が無いので、複数の下剤を準備して、個々の患者様の最も受け入れられやすい下剤を提供いたします。

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当院で扱っている下剤の特徴
(画像クリックで拡大できます)

  大腸内視鏡検査自体は、大腸の最も奥である「盲腸」まで挿入し、観察するのに、3割負担で約7,000円かかります。これに下剤の料金が、上乗せされます。
 下剤が患者様の味の好みで選択できるという事は、かなり珍しいことです。当院では、前にも述べましたが、大腸内視鏡の検査を予約する際、なるべく下剤の種類を選んでもらっています。中には、当院のHPを熟読して来られる方もいらっしゃいます。予約時に、「この下剤にしたい」という希望があれば、申し出ください。臨機応変に対応いたします。 

 食物に対し、人には好き嫌いというものがあります。前回の検査がどこの医療機関であったとかは問題ではなく、前回飲んだ下剤がどうしても個人的に受け付けられなかったというのであれば、次回の検査の際には、下剤の種類を換えればいいのです。もし、前回の医療機関が、一種類の下剤しか扱っていないのならば、躊躇することなく、複数の下剤を扱っている医療機関に変更すればいいだけの話です。

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